2003年7月31日号* |
|||||
■心のリハビリ最終章 『記念すべきメンスカデビュー』※メンスカ=メンズ・スカートの略 心のリハビリを開始して約1年が経ちました。 その間、脱毛症は順調に回復、と言いたいところですが、実際のところ、治りは遅いのが現状です。 今の状態は、ピーク時に比べれば若干良くなってきたかな、という程度であり、治ってきたかなと思えば、まだ治っていない…と落胆する、ということの繰り返しです。 それでも一応、思い当たる節はこれまで全部当たってきました。 例えば、これまでのわたしは、自分の本当の欲求を押し殺して必要以上に周りに合わせる性格であったことや、あるいは子供っぽく見られることや実年齢よりも若く見られることが内心では嬉しいはずなのに、恥ずかしくてかえって迷惑なふりをしてきたこと、また、自分が本来、女性的な感性を持った人間であったにもかかわらず、それを自ら抑圧し、考え方や服装など日常生活のあらゆる面で無理に男っぽくあろうとしてきたことなどです。 「このままでは劇的な回復は見られない。 まだ何かが足りない。 いや、ひょっとしたら、自分にとっての理想の世界が実現するまで、この病気と付き合っていかなければならないのでは…」―そんな絶望的な思いがふと頭の中をよぎったわたしは、さらに考えを一歩進め、だったら、それが実現するために、まずわたし自身が自分の理想に最も近い位置にあるべきではないか、と考えました。 わたしが何かに遠慮していたのは、やはり世間体やら常識やらの周りからの目に見えない圧力のせいでした。 だが、ここに至って、わたしにははっきりと分かりました。 そうと分かれば話が早い。 現代でギリシャ服に一番近い格好といえばミニスカートだ。 実際、古代ギリシャでは男子はほぼ全員ミニスカートだったではないか。 これしかない! |
|||||
*■6月10日 |
|||||
■6月13日 心のリハビリ最終章の実行開始。 さっそく近くの高円寺パル商店街にいくつかある古着屋さんを物色する。 古着屋を見て周るなんて初めての経験だ。 もともとファッションに関しては人並み以上のこだわりを持っているわけではなかったわたしが、しかもミニスカート目当てに古着屋を渡り歩く。。。 ついこのあいだまでは想像もできなかったことだ。 店に入るだけでも緊張する。 わたしの希望はプリーツミニかデニムミニ。(ちなみにプリーツとは 「ひだの入ったスカート」 のこと。 こんな言葉も今までは全然知らなかった。) そして、たまたま入ったとある店でデニムのミニスカを発見! しかし、手に取るだけでも心臓バクバク。(当たり前だ。 スカートを買うなんて初めての経験だからだ。 客がわたし一人だったのが幸いだった。) それでもあくまで冷静さを装い、サイズなどを確認。 「S」とあったが、まぁこれで大丈夫だろうと勝手に判断。(試着することも出来たが、とてもそこまでする心の余裕はなし。) 意を決して、早速レジへ持っていく。(これがまた勇気が要るのだ。) レジで店員さん(男)に 「暑いですからね」 といきなり声をかけられ、思わず 「ええ」 と小さく苦笑い。(恥ずかしーーーっ!><) お目当てのモンを買ったらもうこっちのもの、とばかりにそそくさと店を出て、アパートへ一目散に帰る。 さっそく袋から取り出し試着。 「スカートって面白い形しているよなぁ」 とか思いながら穿いてみる。 サイズはバッチリだった。 しかし、分かってはいるのだが、股がスースーするのだ、これが。 今までに味わったことのない感覚に、ちょっぴり感動! ただ、「ホントにこんなの穿いて外に出る気かね」 とも思う。 不安と恐怖がよぎる。 しかも、ちょっと太目感は否めず。 実は引きこもり気味の生活がたたって、体重が増加傾向にあったのだ。(この時点で50ウンkg。) この時から気合いを入れて、死にもの狂いで全身の筋肉をガーッと緊張させ、さらに緊急措置として食事制限まで敢行し、目標体重43kgまで減らすことを決意する。 |
|||||
■6月14日 翌日、早くもコンビニデビュー。 迷いはなかった。 本当はもっとスリムになってからデビューしたかったのだが、「そんな悠長なこと言っていたら、いつまで経ってもデビューできない!」 と自分を叱りつけた。 それに早くデビューして自分に活を入れておけば、今後の痩せようとする意欲にもプラスに働くはずと判断し、実行に移す決意をする。 まずはファッションチェック。 今日はデビュー初日ということで、Tシャツ1枚にミニスカのシンプルなスタイルに決めた。 頭にはバンダナを巻く。 出かける前に鏡の前で入念にチェック。 もちろんすっぴんだ! 男が化粧をすると、いかにも女装っぽくなってしまうし、かえって老けて見えるからだ。 ただ、眉は手入れをした方が見栄えが良くなると思い、眉尻に向かって細くなるように毛抜きで整える。 ちなみにヒゲや体毛の処理はもう1年近く続けているから問題はなかった。(わたしの場合、ヒゲや体毛も一本一本抜いています。) じっくり時間をかけて、あらゆる角度から自分の姿を映してみる。 そして十分納得した上で、決意は固まった。 いざドアを開けて出発!(まるで戦場に行くような気分だ) スカートを穿いて初めての外出。(ちなみに足元は白の靴下にコンバースのハイカットという超若作りなスタイル!) シャツを外に出していたのでスカート自体は目立たなかったが、それでもスカートを穿いた自分を公衆の面前にさらすこと自体が恐怖だった。 本心は逃げ出したいくらいビクビクのガチガチ状態だったが、努めて堂々と歩くことにする。 薄暗くなりかけた夕方、いつもは何気なく行くコンビニまでの道のりが、今日は異常に長く感じられた。 裏道なので、誰にも会わずに済んだのが幸いだった。 コンビニが見えてきた。 お客は数人。 「ええい!」 とばかりに心の中で気合いを入れて、いざ中へ。 まずは気分を落ち着けるために立ち読みコーナーへ行く。 雑誌を読んでみるも、ちっとも内容が頭に入らない。 周りばかり気になる。 途中から新たな客が入ってきて、さらに緊張が高まる。 しかし、何喰わない表情で自分の横に並ぶのを見て、なぜかホッとする。 さて、次は買い物だ。 適当に2品ほど選んで、いざレジへ。(心臓がバクバク音を立てている。) レジの女の子は、一瞬 「えっ!?」 というような表情を見せたが、普段と同じようにレジを打ち、最後にありがとうございました、と言ってくれた。 店を出た時には、言いしれぬ開放感と達成感でいっぱいだった。 こうして記念すべきコンビニデビューは無事終了した。 コンビニデビューは案外あっけなく終わった感があったが、自信は確実に付いた。 あとは行動の範囲を徐々に広げていくのみだ。 やったるぜ! |
|||||
■6月19日 ここ5日間、メンスカでコンビニに何回か繰り出した。 その度に自信が付いてくるのが分かる。 立ち読みも堂に入ったものになったし、レジも怖くなくなった。 店員さんは相変わらず最初の一瞬だけこわばった表情を見せるが、後はいつもの調子でレジを打ってくれる。 むしろこちらはそうした反応を楽しむ余裕さえ出てきたといっていいくらいだ。 こうなれば欲が出てくるのが人情というもの。 もっと人出の多い場所へ行ってみようということで、今回は自宅から阿佐ヶ谷の駅前まで歩いてみることにする。 |
|||||
■6月23日 本格的な人混み歩きの敢行を決意する。 目指すはここから数駅先の中野駅前のブロードウェイ商店街。 意を決して自宅のドアを開け、いざ出発! まずは阿佐ヶ谷駅へ繰り出す。 駅までの道のりはもう何のためらいもない。 10分弱で駅に到着。 ここからが試練だ。 切符を買う、改札を通る、ホームまでのエスカレーターに乗る、すべてがハラハラドキドキの連続だ。 ホームに立つとさらに緊張感が増す。 ほどなくして中野駅に到着。 ここからさらに正念場が待ち受ける。 人混みでにぎわう商店街のど真ん中を歩くのだ。 さっそくアーケードの中へ。 わたしの場合、たとえメンスカであっても内股歩きのようなことはせず、堂々と歩くことにしている。 この方がかえって怪しまれないし、若々しく見えるからだ。 |
|||||
■6月29日 高円寺駅南口一帯の古着屋さんを散策。 欧風のトップスやデニムの切りっぱなし短パンなどを購入。 もうこの頃になるとメンスカもだいぶ慣れてきて、ガチガチに緊張することもなくなった。 つい4日前も荻窪へ行ったし、人混みも怖くなくなった。 荻窪では夕方時でもあったせいで、駅で女子高生の集団と何回も出くわすはめになったが、特に変な視線を向けられたり、声を上げられたこともなかった。 ますますメンスカに自信を持つ。 |
|||||
■7月6日 メンスカで初めて新宿に繰り出す。 この頃には体重も49kg台に突入し、スカート姿も幾分様になってきた。 ミロード、サブナード、マイシティなどを散策。 いろんな店を見て回る。 休日でどこも人でいっぱいだ。 むろん誰もわたしのことなど注目していない。 自分がスカートを穿いていることなど忘れそうなくらいだ。 帰りは高円寺駅で降り、古着屋さんを見て周る。(新たにミニスカート数点購入。) |
|||||
■7月24日 そろそろHP更新の時期が近づいてくる。 そこで早朝、自宅アパート前の路地で、HPに掲載するためのポートレート撮影を敢行。 この自宅前でのショットはどうしても撮っておきたかったものだ。 それに数日後に予定している街中での撮影の予行演習も兼ねている。 実はうちのアパートは一階が大家さんなのだ。 しかも近所の人に見られるのもまずい。 幸いなことに、これまで大家さんにも近所の人にもメンスカ姿を見られたことは一度もない(と思う)。 なので、ゲリラ撮影さながら 「サッとやってサッと終わり」 にしなければならない。 さっそく5時頃から準備に取りかかる。 外は今にも雨が降り出しそうな曇り空。 しかし、今後一週間は晴れ間が期待できないことから、贅沢も言ってられない。 撮影は6時ちょっと前を予定。 今日はごみの日ではないこともあらかじめ確認してある。 まずは三脚の用意、およびデジカメの設定。 そしてスカートに着替え、外に出る。 最初のポートレート撮影は大失敗! とりあえず自宅前での撮影は非常に危険ということで今回は断念する。(変な噂立てられないといいけどなぁ。) |
|||||
■7月26日 HP掲載用の写真撮影のため、高円寺、および中野へ繰り出す。 まずは徒歩で高円寺パル商店街へ。 絵になりそうなところはないかなぁと商店街を歩き始めるが、まだ閉まっている店が多く(たしか10時半頃だと思ったが)、ちょっとがっかり。(今日は土曜日だが、商店街のお店っていつもお昼頃開くんだっけ?) とりあえず高円寺は後回しにして、電車で中野に向かうことにした。 メンスカでは2回目の中野ブロードウェイ。 今日は写真撮影がメインだから、お店を見るのはほどほどに、場所の選定を始める。 しかし、思ったような場所に目星を付けられず、そのまま3Fへ。 とりあえず、まんだらけの前は後回しにして、気分直しに別の通路にある店などを散策。 そのうちの一軒でベルトなどを見ていた時、店のおばさんが声をかけてきた。 実に親しげな口調で商品の説明や値段などを丁寧に教えてくれる。 わたしは思った。 「そうだ、このおばさんに頼んじゃえ!」
うーん、人に撮られるのが慣れていないせいか、ちょっとポーズがぎこちない。 しかも全体的に太目感が…。 この時点で48kgちょうどぐらいだったが、やっぱりあと5kgは減らさなきゃダメですね。 ともあれ、おばさん、お姉さん、どうもありがとうございました。 |
|||||
■7月29日 前回、あまりの写真映りの悪さに愕然としてしまったわたしは、ここ三日間、一日一食菜食主義に徹して一気に46kg台にまで減量。 そしてこの日、改めて写真撮影に挑む。 前回と打って変わって今度は公園での撮影。 よくサイクリングに来る善福寺川公園だ。 自転車で行けば10分かそこらの距離だが、ミニスカで自転車に乗るわけにも行かず、結局歩いていくことにする。 平日の午前9時、空は曇り空。 本当は晴れた空の下での撮影を希望していたが、梅雨のまっただ中でそれは望むべくもなし。 それに、今日はお昼頃から雨が降り出すとの予報。 急がなくてはならない。 まずはコンビニの近くにあるブロンズの少女像のところへ行く。 さっそく三脚をセットし撮影開始。 その時のショットが下の写真2。
ちょっと表情が硬いが、初めての野外撮影にしては上出来だろう。 よぉし、この調子で次も行くぞ!と意気込んだ矢先、早くも霧雨が降り出してきた。 まずい、急がねば! 次の目的地は和田堀池の噴水前。 霧雨がだんだんと小雨に変わってきた。 雲行きはいっそう怪しい。 早足で和田堀池へと向かう。 前にここに下見に来た時、ここの背景がベストだなと事前に決めておいたのが、この和田堀池の噴水を背景にしたショットだ。 さっそく三脚をセットしピント合わせ。 構図も決まり撮影開始。 その時のショットが下の写真3、写真4、写真5、写真6。
ところが、雨がだいぶ大降りになってきた。(これからという時に!) 本当はもっとあちこち回って撮りまくるつもりだったが、ここで切り上げることにする。 うーん、無念だ。 梅雨空が恨めしい。(一体いつになったら梅雨明けするんだろうか。) * |
|||||
■メンスカデビューで得たもの ―ここまでを振り返ってみて―以上、メンスカデビューの道のりを簡単に振り返ってみました。 すべてが新鮮な体験で、今まで自分が知ろうともしなかった新たな世界を垣間見た気がしました。 それと同時に、自分が今までいかにくだらない常識に縛られていたかも身をもって感じました。 いや、正確に言うと、自分で自分の心の中に造り出した巨大な影に怯(おび)えていて、本当の自分を出したくても出せなかった、と言うべきなのでしょう。 「男がスカートなんて…」 というのが通常言われている世間一般の見方だと思います。 しかし、実際ここまでメンスカで何回も街へ出てみましたが、行く先々で表立って悪意ある視線を感じることはありませんでした。 むしろこちらが拍子抜けするくらい、人々の反応は冷静で落ち着いたものでした。 メンスカデビューをきっかけとして、自分自身のダイエットにも真剣に取り組むようになりました。 今までは自分のダイエット理論を過信していて、運動や食事療法などを全く軽視していましたが、それらも筋肉緊張ダイエットと併用すれば絶大な効果を上げることを身をもって体験しました。 やはり、第一希望を実行すると何から何までいいことずくめで、すべてが良い方向に進み、やればやるほど生きる悦びやエネルギーになるのです。 逆に、第一希望と関係ないことばっかりやっていると、すべてが狂ってきてしまい、何をやっても悦びや満足感が得られず、やがては取り返しのつかない状況にまで追い込まれることになります。 今のわたしの現状はまさにそのことを雄弁に物語っています。 第一希望へのあくなき探求は生きている限り永遠に続きます。 決して終わることはありません。 これがすなわち、わたしにとって 「生きている」 ということそのものです。 この探求を止めたとたん、わたしの人生は下降線を辿り始めます。 ゆえに、生はいつでも必ず上昇していなければならないのです。 |
『かんたん!筋肉緊張ダイエット』管理人:Tarchan