ちょっと気になるメール・その1
「やせすぎ」 でお悩みの (匿名希望)さんからのメールです。
【I have some questions】 (99/7/9 (匿名希望)さんより)

  はじめまして。
 ひょんなことでTarchanさんのウェブページに行き着きました。 一通り目を通させていただきましたが、おっしゃられていることは、私には大変筋が通っていて、実際的であるように感じられました。

 そこで二、三質問とコメントがあります。
 私は29歳の男性ですが、”痩せすぎ”で悩んでおります。 私が明らかに”痩せている”という状態になり、それを保持しているのは小学校時代からで、特に中学校時代以来、このことが長年のコンプレックスとなっております。

 何の医学的根拠も証拠もリサーチも手元に持っているわけではありませんが、痩せている(ないし小柄)というというのは、出生時の体のサイズにも関係があるのではないかと私は考えています。 というのも、私は出生時は未熟児すれすれでしたが、これまで何人か”小柄”な人にその出生時の状態を質問したところ、同じような解答を得られた記憶があるからです。
 この話題を取り上げたのはTarchanさんの研究の参考になるかもしれないかと思ったからで、ここではこれ以上は進めないことにします。

 私自身の話にもう一度戻りまして、私は小学校に上がる以前までは(確実ではありませんが)近所の同年代の子ども達と大して変りない体型をしていたと思いますが、小学校に上がって以来、学年があがるたびに、より小柄な子供の分類になりました。(おかしな日本語ですが、小柄大柄という表現は”他との比較”の上に成り立つので‥ また、”小柄”というのは背が小さいことと、痩せていることを同時に表現しているわけですが、ここで私はもちろん背のことは問題にしません。)
 中学校時代 私は剣道部に所属し、だいぶハードなトレーニングを毎日強制されましたが、他の部員が筋肉隆々になっていくのと対象的に、私は遅筋をより多く保持する体質のようで、細いままでした。
 その後、高校生活では運動部にこそ所属してはいませんでしたが、毎日の長距離の自転車通学と、まるで軍隊の訓練のような体育の授業で、全身の筋肉はいつも使わされていたような気がします。
 その後大学以降はまったく運動量は減り (というよりもほとんどまったく運動なし、といった方が正確かもしれません) ましたが、いくらグウタラ生活をしようと痩せすぎ体型は変わりません。

 ところで、Tarchanさんのおっしゃる 「痩せている人の家庭では、そこに住む人間にとって、絶えず筋肉を緊張させずにはいられない、なにか特別な空気が存在するということであり、逆に、太っている人の家庭では、そこに住む人間にとって、絶えず筋肉の緊張力を解かずにいられない何らかの空気が存在する」 ということには大いに共感します。
 ここで詳細は述べませんが、私の少年時代は大きなプレッシャーの下にいつも置かれていたことを述べておきたいと思います。 そして、この体験ないし”習慣”は、その後私のパーソナリティの大きな構成要素のひとつとなり、そのことが私が恐らく体中の筋肉を無意識的に緊張させている、というのは大いに納得のゆく論理であります。

 もう一点付け加えて置きたいことは、私の食生活がある程度偏っている、ということです。 実際には、私はあまり淡水化物を取らないということと、甘い物もあまり摂取しないこと (これには果物も含まれます)、そしてスナック菓子等はほとんどまったく食さないことです。 ”ご飯よりおかず”という食生活になりがちであります。
 ただし、これはただ単に好き嫌いという単純な問題ではなく、私自身思うところ何か精神的なところに起因しているようで、この食生活を ”しかるべきもの”、すなわちどれだけの量をどのようなバランスで摂る、というのはコントロールできていません。
 またアルコールもほとんど飲めません。 さらに加えていうならば、食生活のリズムも極めて不規則になりがちです。 また、全般的に、私は”小食”と”平均”の間に位置している、とも思っています。

 私の”痩せすぎ”の状態は、これらのことが総合しての結果かと思われます。
 私がこれらのことを長々と喋ったのは、ひょっとしたらこれからTarchanさんに質問することの答えのヒントになるかもしれない、と思ったからです。

 そこで、私はそれでもなんとか現在の”痩せすぎ”の状態から”友人と銭湯に入れる”くらいの普通の体型になりたいのです。
 私は現在NYに在住しておりますが、ここにいる世界中の人間達は一般的な日本人よりもはるかに太っていて、なおかつそれが”普通”とされているくらいなので、私は”デブ”になれたらどんなに幸せだろうか、と真剣に思っているくらいです。

 そして、Tarchanさんの説明の中に、痩せている人も同じ原理で太ることができる、という意の文章がありましたが、それは具体的にはどういうことなのでしょうか? 私の体中の筋肉が通常の状態で極度に緊張しているとしたら、それを弛緩させるには一体どのようにすれば良いのでしょう?
 あるいは、この場合「太る→痩せる」とは違うプロセス --- つまり、筋肉の緊張状態よりも、筋肉の種類のバランスにより意識を置かなければならないのでしょうか? すなわち、速筋を使用するエクササイズをする、ということになるのでしょうか?
 後者の場合、それは食生活とかなり密接な関係もあるように思われるので、私がその食生活を変えられない以上は、エクササイズをしてもあまり効果が得られないのでは、とも思ってしまうのです。


 また、話題は変わりまして、瞼の話になります。
 私は子供の時分はくっきりとした二重瞼を持っていましたが、現在では完全に奥に隠れてしまう一重瞼になってしました。 つまり、どうみても”奥二重”とは言えないものです。
 ところで、住んでいる場所柄、世界中の人種を見ることが多いので、ここで私が観察するところのヨーロッパ系人種の瞼について述べると、彼らの瞼は日本人のそれよりはるかに肉がたくさんついているのではないか、と思うのです。 そして、あのくっきりした二重がどこから生まれるか、と言えば、二重そのものをつくっている部分---すなわち瞼が内側に折れ曲がっている部分---がアジア人のそれとはまったく違うのでは、と思うのです。
 二重瞼、というのは瞼が内側に折れ曲がる、ないし”畳まれる”ことによってそのように見えるようになるわけですから、この”畳まれる部分”をなんらかの方法で強制的に変えてやらない限り劇的な二重瞼というのは得られないのではないでしょうか?


 最後に、「望んでいるものの”イメージ”を持ち続ける」というのは非常に大切なことだと私も思います。 実際、私は幼少のころ、高い鼻が欲しくて毎日鼻を引っ張り、鼻が高くなっているイメージを心の中に抱いていましたが、ある程度までそれは効果があったような気がします。
 私は意志が弱い人間なので、それを現在他の部分にまで適応させるには至りませんが‥ 言葉を変えて言えば、自分は魅力的である、と信じることも非常に重要なことなのだと思います。

 長いメールになりましたが、痩せすぎで困っている人間について、何か朗報がありましたら是非御教授ください。
返信


(匿名希望)さん、はじめまして。Tarchan です。

  Sun, 4 Jul 1999 17:28:55 -0400 の
   【I have some questions】
  に関するメールにお答えします。


> はじめまして。
> ひょんなことでTarchanさんのウェブページに行き着きました。一通り
> 目を通させていただきましたが、おっしゃられていることは、私には
> 大変筋が通っていて、実際的であるように感じられました。

 ホームページを見てくださってどうもありがとうございます。
 この常態変換法が少しでもあなたのさらなる理想の体型への足がかりとなることを願っています。


> そこで二、三質問とコメントがあります。
> 私は29歳の男性ですが、”痩せすぎ”で悩んでおります。
> 私が明らかに ”痩せている”という状態になり、それを保持しているのは
> 小学校時代からで、特に中学校時代以来、このことが長年のコンプレックス
> となっております。
> (中略)
> もう一点付け加えて置きたいことは、私の食生活がある程度偏っている、
> ということです。
> (中略)
> 私の”痩せすぎ”の状態はこれらのことが総合しての結果かと思われます。
> (中略)
> そして、Tarchanさんの説明の中に、痩せている人も同じ原理で太ること
> ができる、という意の文章がありましたが、それは具体的にはどういう
> ことなのでしょうか?
> 私の体中の筋肉が通常の状態で極度に緊張しているとしたら、
> それを弛緩させるには一体どのようにすれば良いのでしょう?
> あるいは、この場合「太る→痩せる」とは違うプロセス ---
> つまり、筋肉の緊張状態よりも、筋肉の種類のバランスにより意識を
> 置かなければならないのでしょうか?
> すなわち、速筋を使用するエクササイズをする、ということになるのでしょうか?


 わたしなどのように、昔から痩せたいと願ってきた人間にとって、(匿名希望)さんのように「太りたい」と悩んでいる方のご意見というのは、たいへん貴重であり、またうらやましくも思います。

 さっそく質問の件ですが、太るプロセスには次の2つの道があると思います。
 一つは、筋力トレーニングなどを行って、速筋を鍛えてムキムキの筋肉質のからだを作ること。 もう一つは、遅筋をなるべく使わないようにして(すなわち筋肉の緊張を緩めて)、筋肉の脂肪燃焼能力を低下させ、脂肪の付きやすいからだ(いわゆるぶよぶよ体型)を作ることです。

※ 太るための手っ取り早い方法として、普段の食事において脂肪分や糖分を増やすことなども考えられますが、もともと筋肉の脂肪燃焼能力が極めて高い人にあっては、食事によって摂取されたエネルギーがすぐに全身の筋肉で消費されてしまうので、甘いものやこってりとした脂ものをどれほどたくさん食べたとしても、あまり効果は期待できません。

 (匿名希望)さんの場合、筋肉の緊張力が普通の人よりも極めて高い(すなわちそれだけ遅筋が余計に働いている)ので、速筋を使用するエクササイズをすることももちろん大事ですが、それよりもむしろ遅筋を使わないようにすることの方がはるかに効果があると思います。
 ここまでが理論上分かっていることです。

 ではどうやったら通常の状態で極度に緊張している筋肉を弛緩させることができるのか、ということについては、筋肉に意識的に力を入れることよりも、はるかに難しいと言わざるを得ません。
 というのは、筋肉を弛緩させること自体が難しいからではなく、筋肉を弛緩させた状態を、自分自身で感じ取ることが難しいからです。
 わたし自身もやってみるのですが、いったん筋肉に力を入れ、それを再び緩めるのは簡単ですが、普通の状態から筋肉の緊張を意識的に緩めようとしても、緩んでいるといえば、緩んでいるような、そんなあいまいな感覚しかないのです。
 これは、筋肉を緩めていることを、わたしが意識的に感じる取ることができないだけなのか、あるいは実際に緩んでいないのか、今のところ分かりません。 一つの対策法としては、筋肉にいったん力を入れ、それを再び緩める時の感覚をもとに、意識的に筋肉の緊張を常に緩めよう緩めようとする、という方法が挙げられますが、いずれにせよ気の長い努力になることは間違いありません。

 太るメカニズムは分かっているのに、そのための具体的な方法が見つからない、というのは、何とも心苦しいですが、現時点でわたしがお答えできるのは、ここまでです。

 今まで、痩せるための方法を画策することに没頭してきたこともあり、また「痩せる→太る」というプロセスを、わたし自身が実際に試すことができない (わたしはもちろんこれ以上太りたくないので) ということで、理論だけが先走りし、太るための具体的な方法の研究を多少なりともおろそかにしてきた点は、素直に認めざるを得ません。

 しかし、ホームページ上で「太りたい人にも朗報!」とうたっている以上、わたしもこのままで終わらせるつもりはまったくありません。
 昔は痩せていたのに、年を重ねるに連れてどんどん太ってしまう人はたくさんいます。 おそらく年月が経つにつれて、本人の知らない間に体中の筋肉の緊張が徐々に緩んできてしまったことが、その原因でしょう。
 そうであれば、必ず筋肉の緊張を意識的に緩めることも可能なはずです。
 いまは、具体的な答を出すことはできませんが、また何か新しい発見がありましたら、その時は必ずホームページ上、あるいはメールにてお知らせしたいと思います。


> また、話題は変わりまして、瞼の話になります。
> 私は子供の時分はくっきりとした二重瞼を持っていましたが、
> 現在では完全に奥に隠れてしまう一重瞼になってしました。
> つまり、どうみても ”奥二重”とは言えないものです。
> ところで、住んでいる場所柄、世界中の人種を見ることが多いので、
> ここで私が観察するところのヨーロッパ系人種の瞼について述べると、
> 彼らの瞼は日本人のそれよりはるかに肉がたくさんついているのではないか、
> と思うのです。
> そして、あのくっきりした二重がどこから生まれるか、と言えば、
> 二重そのものをつくっている部分---すなわち瞼が内側に折れ曲がっている
> 部分---がアジア人のそれとはまったく違うのでは、と思うのです。
> 二重瞼、というのは瞼が内側に折れ曲がる、ないし”畳まれる”ことによって
> そのように見えるようになるわけですから、この”畳まれる部分”を
> なんらかの方法で強制的に変えてやらない限り、劇的な二重瞼というのは
> 得られないのではないでしょうか?


 「ヨーロッパ系人種の、あのくっきりした二重がどこから生まれるか、と言えば、二重そのものをつくっている部分--すなわち瞼が内側に折れ曲がっている部分--がアジア人のそれとはまったく違うのでは、」というご意見は、たしかにそうだと思います。
 ただし、それは瞼の動かし方次第によって変えていけるものだと、わたしは考えています。

 私自身の経験から言いますと、わたしはもともと一重でしたが、高校生の頃から、普段から視線をどこに向ける場合でも、なるべく目を大きく開けるなどの努力を繰り返してきた結果、数年たった頃に、目を大きく開けた時にうっすらと線が入るようになり、年々その線が目尻から目頭にかけて延びてくるようになりました。 また、近年ではさらに一歩進んで、眉を上にあげた時に、まぶたのかなり上の方にはっきりと「窪み」が生じてくるようになったのです。

 この窪みの部分がはっきりしていることが、欧米人の特徴といえるものです。 中には、窪みの部分と二重の線が完全に一致してしているような人もいます。
 つまり、わたしが今まで積み重ねてきた努力をさらに続けていけば、おそらくその窪みが段々と目立ってきて、欧米人のようなくっきり二重になることができるのではないか、と考えています。

 また、「欧米人の瞼は日本人のそれよりはるかに肉がたくさんついているのではないか、」ということについては、わたし自身は「むしろ逆ではないか」という風に考えています。
 私自身の経験から踏まえて言うと、まぶたの肉(正確に言うと脂肪)が厚いと、目を大きく開けることすら困難です。 まぶたをつまんでみると分かるのですが、かつて腫れぼったい一重だった頃より、今の方がやはり薄くなったようにわたし自身は感じています。
 欧米人の瞼に肉がたくさんついているように見えるのは、二重の線があまりにくっきりとしているために、その上下の部分が肉厚に見えてしまうからではないでしょうか。

 もちろん、まぶたについてはわたし自身がまだまだ発展途上にあるので、これからの努力の過程で、(匿名希望)さんの意見も十分に考慮させていただきたいと思います。


> 最後に、「望んでいるものの ”イメージ”を持ち続ける」 というのは
> 非常に大切なことだと私も思います。
> 実際、私は幼少のころ、高い鼻が欲しくて毎日鼻を引っ張り、
> 鼻が高くなっているイメージを心の中に抱いていましたが、
> ある程度までそれは効果があったような気がします。
> 私は意志が弱い人間なので、それを現在、他の部分にまで適応させるには
> 至りませんが‥ 言葉を変えて言えば、自分は魅力的である、と信じることも
> 非常に重要なことなのだと思います。


 望んでいるものの”イメージ”を持ち続けること、および自分は魅力的である、と信じることは、まさしくその通りだと思います。
 わたしが常態変換法を生み出すきっかけとなったのも、まさしくこうした思いがあったからこそです。 そして、このホームページを通じて同じような思いを持つ人たちの手助けができることは、わたしにとって何よりの喜びとなっています。

 今回は、(匿名希望)さんの切実なお悩みに、満足のいく回答ができず、大変申し訳なく思います。
 これからは痩せたい人ばかりでなく、太りたい人にも手助けができるような、より幅広い研究を心がけていこうと思う所存です。



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