ちょっと気になるメール・その32

モカさんからの親子関係の悩みについてのメールです。

【「ちょっと気になるメール集」を読んで】
  2003年12月12日 モカさん [24歳 女性] より

 TARCHAN様

 こんにちは。 モカと申します。 24になる女性です。
 以前からTARCHAN様のサイトは拝見しておりまして、非常に興味深く、実践して顔やせに励み、人にもすすめてよろこばれたりしてました。

 さて、今日再びTARCHAN様のサイトに来て、「ちょっと気になるメール集」 を読んで、かなり愕然としました。 あまりにも的確で、私にタイムリーだったのです。 「人間関係の問題の原因は親子関係にある」 といった内容についてです。
 このことについてかなり頻繁に考えるのですが、誰に話していいのか全く分からず、一人で悶々としていました。

 今、運勢的にも転機の時期だそうで、信頼できたり心から好きだったり笑いあえる恋人も、友達すら、本当に不思議なくらい一人もいない状況になってしまいました。
 昔からいつも友達が少なくて、恋愛経験でのいい思いではほとんどありません。 かといって嫌な思い出もないのですが。 経験がほとんどないのです。 正直言って容姿は悪い方ではなく、むしろいいほうなのですが(自分で言ってすいません・・・)とんと縁がないのは、違う理由だと思っていたら、「人間不信のオーラが愛情深い人を遠ざけている」 とあり、なるほど、と悲しくなりました。 すごく仲良しだった友達とも、疎遠になってしまいました。
 だから、唯一心を許して話せるのが母だけになってしまっています。
 両親は仲が悪く、私が小さい頃はまだよかったのですが、年々ひどくなる一方です。 見るにたえません。 父は母を人として尊重していない。 両親は私を愛してくれて、私も彼らを愛してはいます。 でもそれと同時にさらに巨大な父への憎しみも感じるのです。

 幸せな方に自分をイメージする。 この家庭にいてそれはけっこうエネルギーがいります。 そこで父の醜態を見る。 逆ベクトルの怒りのエネルギーに身体が満たされます。
 そこから幸せへのイメージをする。 このくり返し、毎回普通にイメージするエネルギーの2倍以上のエネルギーと時間が必要になります。 もう、くたくたになって、本来好きなことに費やすべきエネルギーを別のことに使っている虚しさを感じます。

 だから、戸籍から自分を抹消してまるまる孤独になってみようか、とか、一人暮らしをしようか、などいろいろ考えました。
 一人暮らしは一番効果的だとは思います。 かつて留学していた頃、すごく快適でした。 (辛いものだったけど)素敵な恋もしました。 何より、自分のことが本当に大好きでした。 今も自分のことは好きではあります。
 でも、どういでもいい人には愛想良く振る舞えるけど好きな人にはなぜか冷たくしたり、コンプレックスを感じて妬んでしまう。 男の子の好意の視線をそらしてしまう。 必要以上にそらして逆に相手の気分を害してしまう。 そんな自分が嫌いです。 留学中は、親とはなれている時は、もっともっと素直で、シンプルだった。
 でも今はやりたいことで生計もたてられず、妥協して働いてる職場でのお給料では生活は難しい状態で実現できてないのです。
 でも、最近特に、家庭にいることが、私自身のやりたいことや夢を実現するのに好ましくないと思っていました。 そうやって人のせいにしているような自分も嫌いで、ほとんど毎晩一人で泣いていました。
 でも一つ確かなことは、私は自分のことも両親のことも大好きで、幸せになりたいし、幸せになってもらいたい。 自分が幸せになることが、彼らにも幸せだと信じてるのです。 そのための努力をしようと思ってますが、それが具体的になんなのかわからないでいます。

 このような独白、非常に御迷惑だとわかっております。 でも、あそこまで愛情深い理解をなさるTARCHAN様に、読んでいただけるだけでも、少しは解消されたり、自分の中での整理がつくかと思って書きました。

 長くなりましたが、読んで下さってどうもありがとうございます。
 がんばって幸せになります。 これも意志によるのですから。

 モカ

【返信】

 ホームページを見てくださってどうもありがとうございます。
 わたしのHPが少しでもあなたの幸福の一助となることを切に願っています。

 メール拝見させて頂きました。
 以前から親子関係について深く考えられてきたとのこと。 多分、このメールの文面だけでは言い表せないほどの葛藤をこれまでずっと抱えていらっしゃったのだろうと想像いたします。
 そうした中でも、モカさんがお父様への憎しみを冷静に自覚していらっしゃることは救いだと思いました。 たいていの人はそうした怒りさえも自覚せずに 「わたしは父から十分に愛された」 などと自己欺瞞を重ねることが多いからです。

 ただ、そうは言っても、なおモカさんは 「両親は私を愛してくれて、私も彼らを愛してはいます。」 とおっしゃっていますが、モカさんのこれまでの人生経緯、及び今のモカさんの置かれている状況を見ると、実際にはモカさんはご両親からモカさんが思っている量の何百倍、何千倍もの怒りを受け取っており、一方、モカさんはご両親に対して、モカさんが思っている量の何百倍、何千倍もの怒りを抱えている可能性があると思われます。 そして、そうした怒りのはけ口が人間不信のオーラとなって、知らず知らずのうちに他人を遠ざけているといっても過言ではないのです。
 「唯一心を許して話せるのが母だけ」 という状況は、人間関係本来のあり方から見れば、明らかに不健全な状態です。 いや、ひょっとしたらその唯一心許せる相手である母親にさえ、モカさんはモカさん自身が思っているほどには心を許してはいないのかも知れないのです。

 人間関係の基本は 「わたしもうれしい、あなたもうれしい」 というものです。 つまり、悦びを媒介とした関係です。 決して愚痴を言い合ったり、傷をなめ合ったりする関係ではありません。
 それは当然、家庭内だけで適用されるものではなく、すべての人においても同様です。 その延長上に 「あなたを愛するのは親だけではありません。 親以外の人間からもたっぷりと気持ちいい愛をもらいなさい」 ということ、およびその具体的な方法を教えるのが、親本来の役目なのです。
 モカさんが今後、ご家族のもとに留まることによって、その方法を受け取ることを期待できるのであれば話は別ですが、もしそうでないのであれば、一刻も早く一人暮らしを始めた方が賢明だと思われます。(文面を拝見した限りでは、モカさんのご家庭はとてもそのような状況にはなく、残念ながら父親の怒りのパワーの方が勝っていると思われますので。)

 「信頼できたり心から好きだったり笑いあえる恋人も、友達すら、本当に不思議なくらい一人もいない状況になってしまいました」 という今のモカさんの現状を見る限り、(大変失礼な言い方かも知れませんが)どうやらモカさんのお父様もお母様も、人間が生きていく上で一番肝心なこと、つまり家族以外の人間から愛を受け取る方法をあなたに教えることができなかったようです。
 なぜなら、そうした方法とは、夫婦という、もともと他人だった者同士が互いに深く愛し合うことによってのみ、子供に伝えることが可能となるからです。 子供にとっては、ただ単に父親か母親いずれから別個に愛情が注がれただけは片手落ちなのです。
 子供にとって必要なのは、あくまで妻を十分に愛している父親からの、そして夫から十分に愛されている母親からの純粋な愛情です。 夫婦関係が冷め切っていて、お互いを傷つけ合うような環境では、子供に 「あぁ、所詮血のつながっていない者同士は理解し合えることはないんだな…」 という誤った価値観を植え付けてしまいます。 これこそが実は人間不信の源となるものなのです。
 したがって、夫婦仲が改善されない以上(むしろ年々ひどくなっているとのことですから)、ご両親は今後ともあなたにとって必要なものは何一つ提供してくれませんし、もちろん、あなたがご両親を幸せにするだけの力を持つことは永遠にないでしょう。

 ご両親の幸せを願われる気持ちはよく分かります。 しかし、まずはモカさん自身が幸せになることの方が先です。
 自分に心の葛藤をもたらすような環境ははっきり言って悪い環境です。 このまま放っておくと、かえってモカさんの人間不信の根が強化されてしまい、将来的にはモカさん自身の身も心も滅びる危険性があります。
 人生の節々には、独りにならないと見えてこないものというのが必ずあります。 人は何か新しいものを得る時には、古いものを捨てなければならないのです。
 ぜひここは勇気を持ってご家族と離れ、冷静にご自分の生き方や考え方を吟味し、次につながるような人生を模索されることを強くおすすめします。 辛い選択になるかも知れませんが、その方がモカさん自身の幸せのための最良の道だと思われるのです。


追伸

 以上、メールを読ませて頂いて感じたことを率直に述べさせて頂きました。
 モカさんにとっては大変不快で、中には 「なんて残酷なことを言うんだろう」 と思われるような表現もあったかも知れません。 ただ、人間関係(特に親子関係)の問題についてはどうしても歯に衣を着せずにものを言う性分なもので、その辺はどうか寛大な気持ちでお許し下さい。 こういう考え方があるのか、という程度で、あくまで参考意見として心に留めておいて下されば幸いです。

 それでは失礼いたします。

【Re:「ちょっと気になるメール集」を読んで】
  2003年12月26日 モカさんより返信

 TARCHAN様

 年末のあわただしい時期に、丁寧なお返事をありがとうございました。
 おっしゃる通り、一人暮らしをする方向で考えたいと思います。 思い切ってやってみたら、きっといろんなものが軽くなっていきそうです。 さっそく物件などネットでみていたら、ワクワクしてきました。
 改めて、どうもありがとうございました。

 モカ




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