ちょっと気になるメール・その28

愛さん [32歳 独身女性] からの
老化についてのご意見のメールです。

【全く老けない人が知人にいます】
  2003年4月27日 愛さん [32歳 独身女性] より
  [※送信フォームで頂きました]

 このHPで30歳の主婦の方が 「老けない人を見た事があるか」 とお尋ねでしたので、心当たりがあるのでメールします。

 私の勤めていた会社の先輩に入社当時34歳の女性がいました。 当初、せいぜい27歳位にしか見えませんでした。 私が7年後に会社を辞める時も全く外見は変わりませんでした。 41歳になっても美しい若い女性のままです。
 私達20代の女性と同じような若い感覚を持っている彼女は年齢を全く気にしている様子がありませんでした。 老化の兆候というものが数年に渡って全く見られなかったのです。 ただ、白髪だけをやや気にしていて、気にすればするほど増えてしまったように見えました。 染めるのは嫌だと言うので私が目立たないように根元から切ってあげた事もあります。
 その人は現在44歳ですが、バッタリ会った同僚の話によると今でも全く顔が変わらず怖い位、老けていないそうです。 驚いた事に、その同僚も40歳になるのに見た目が30代半ばのまま(入社して来た時の状態)でした。 老けない先輩の影響を受けたものと思われます。

 また私自身の話をすれば、30歳まで全く老化の兆しがありませんでした。 20代前半に見えるとよく言われていました。(弟が言っていたのですから、お世辞ではありません) 男性にもよく声をかけられていました。 その先輩を見ていたので、私の中に 「人は老ける」 という自覚が無かったためだろうと思います。
 ところがDV(暴力を振るう婚約者)の彼との同棲を止めて実家に戻ったところ、私の年齢を気にしたらしい父が 「オバン」 と(冗談か嫌味で?)言ったので物凄いショックを受けてしまい、急に年齢を気にするようになりました。 気にすればするほど老けてきて、たった1年で白髪は生え始め、小じわが出来、頬が垂れて 「主婦ですか?お子さんは?」 と聞かれるまでになってしまいました。
 もちろん私は気ままな独身で子供も居ません。 鏡を見ても全くの別人のようです。 恐ろしいです。 そして両親が時々年齢の事を口にするので益々酷くなっていくのです。

 30歳になったばかりの時には美肌を誉められた私なのに今は毛穴が開いてそれが繋がり小じわでいっぱいです。 これでは30代後半以降の肌です。 同世代の友達よりも老けてしまいました。 いえ、それどころか現在の彼(30代後半)よりもずっとボロボロで弛んだ顔をしています。 一緒に鏡に写ると悲しい気持ちになります。
 確かに心と老化には密接な関係があると思えてなりません。 人は思った姿になるのではないかとさえ思います。

 中国の 「中医学」 の元になった話では皇帝に賢者が 「昔の人はもっと長生きしていた。 数百年は生きた。 今の人は無理をするので短命だ。」 というくだりがあります。 また 「ノアの箱舟」 でも登場する人々は皆、数百歳から千歳以上の年齢です。
 科学者は人のテロメア(細胞分裂のたびに切られる切符のようなもの)が130歳分までしかないと言いますが、世界中に先に述べたような長寿を示す話があり(仙人の話、日本の八尾比丘尼伝説などもあります)私には人の寿命は本来もっと長いように思えるのです。

【返信】  [※送信フォームで頂いたので、この場でお答えします。]

 ホームページを見てくださってどうもありがとうございます。
 大変興味深く読ませていただきました。 旧約聖書の創世記に出てくる主な登場人物の寿命については、わたし自身も調べたことがあり、アダム930歳、ノア950歳、アブラハム175歳、イサク180歳、ヤコブ147歳、ということでした。 今の常識に照らし合わせれば全く以てナンセンスと思われるこのような長命も、あながち誇張ではなく、事実に即したものかもしれません。 面白いことに、時代が下るにつれて寿命が短くなり、最終的には120年に落ち着いていることです。(モーセという人間味を帯びた人物の代になってようやく寿命が120歳になっています。)
 もともとわたし自身は 「人間を含めた生物には本来、寿命というものはない」 という立場ですし、人間が野性を捨て、社会というものを形成した時から、人間と寿命とは切っても切れない関係になった、というのがわたしの主張ですから、世界中に見られる長寿に関する伝説の数々も十分信憑性があると、わたしは思います。

 また、愛さん自身のお話も大変参考になりました。 「心と老化には密接な関係がある」―まさにその通りですね。 わたし自身も脱毛発覚後、ストレスが抜けきらず、今年に入ってからは目の下にくまが出来はじめ、なかなか取れないで困っているところです。 過去の生き方のツケが今になって一気に吹き出しているという感じです。 40になっても若々しく見える人は、やはり目には見えない努力や徹底した自己管理をコツコツと積み上げてきた方なのだと思います。

 ただ、愛さんのお話を読んで、一つ気になった点があります。 それはあなた自身の恋愛のあり方です。
 以前付き合っていた男性がDV男だったということですが、それ以前の恋愛はどうだったのでしょうか。 そして、今の彼はどうなのでしょうか。 過去の恋愛を十分反省し、その教訓を活かすことをしないと、以後、同じことの繰り返しとなってしまいます。
 人は恋愛にしろ仕事にしろ、自分のやっている努力が実らないと、次第にやる気のパワーも落ちてきて、生きる気力もなくなってきます。 あなたが今陥っているのは、まさにこういう状況なのではないのでしょうか。 つまり、過去の悪い恋愛のツケが今まさに一気に吹き出しているといってもいいのです。
 大変おこがましいようですが、あなたがここで今までの生き方や考え方を改め、いい機会だと思って、基本的な人間関係を見直した方がより良い結果が生まれるのではないかと思われます。

 例えば、ご家族との関係はどうでしょうか? ご両親から何か一つでもいいところをほめてもらったことがありますか? 逆に、いつも否定的な言葉を浴びせられてはいませんか? 例えば 「お前は何をやっても駄目」 とか、あるいはあなたが何か自分のいいところを自慢しようとすると、素っ気ない態度を取られたりしてはいませんか? あなたは今回のことに限らず、これまでの人生の中で事あるごとにご両親から心ない言葉を浴びせられ、その度に傷つけられてきたのではないでしょうか?
 親の何気ない一言が深く子供を傷つけるということが、お父様にもお母様にもあまり分かってらっしゃらないように、わたしには見受けられます。 そのせいで、あなたのご自分の親に対する思いも複雑なのではないでしょうか。

 「友人や恋愛関係につまずく人は、まず両親との関係を疑え」 というのが、人間関係における鉄則です。 「親を疑え」 なんて不謹慎…と思われるかも知れませんが、親子関係というのはすべての人間関係の基本とも言うべきものですから、人はたとえ自分が両親から深く愛されたと思っていても、自分の親から受けた悦びと怒りの量を正確に把握しておかないと、他の人間関係において重大な支障が出てきてしまうのです。
 なぜなら、親から受けた10の悦びを100にまで過大評価し、親から受けた100の怒りを10にまで過小評価してまで 「それでも親のことが好き」 「わたしは両親から十分愛された」 などと自己欺瞞を重ねていると、「好き」 と 「嫌い」 の正常な感覚が麻痺して、嫌いな人のことを 「好き」 と勘違いしてしまったり、あるいは本当は好きな人のことを冷たくあしらったりして、本来親にぶつけるべき怒りを無意識のうちに他人にぶつけてしまう、ということが往々にして起こるからです。 こうして、本人も全く訳が分からないまま、人間関係においてトラブルを抱えることが多くなってしまうのです。
 しかも、さらに悲惨なことは、こうしたトラブルを抱えている間は、周りに対して人間不信のサインがバンバンと出るので、愛情深い人間ほど遠ざかってしまうようになり、逆に、近づいてくるのはカラダ目当ての薄情男か、あるいは、気に入らないとすぐに暴力を振るうダメ男だけ、ということになってしまうのです。

 わたしとしては、これらのことをふまえた上で、ぜひともあなたに今の彼と末永く愛を育まれることを切に願っていますが、もし、寂しさを紛らわすために今の彼と付き合っているようであれば、すぐさま止められることです。 かえって以前よりも悲惨な結末を迎える可能性が大だからです。 あなた自身の心の健康のためにも、これ以降も男を取っ替え引っ替えするようなマネだけはなんとしても避けなければなりません。
 今からでも決して遅くはありません。 もう一度、ご自分の人間関係を根本から見つめ直して、励まし合いが出来るような温かい人間関係を築いていくことを強くおすすめします。 そして日頃から常に問題意識を持って、自分を応援してくれそうな人と積極的に付き合うことが必要です。 逆に、自分に否定のサインや怒りのサインをぶつけるような人(もちろん親も含みます)とは付き合わないようにする、という努力も必要です。
 場合によっては、今まで築き上げてきた人間関係を一度すべて捨て去り、孤独に耐え、全く新しい人間関係を築いていくという究極の選択をしなければならないかも知れません。 しかし、そうした辛い試練の末に得られた真の悦びこそが、老化を防ぐ最良の方法なのだと、わたしは考えています。

 せっかく感想を送ってくださったのに、最後には説教じみた文章になってしまいましたが、人間関係(特に親子関係や恋愛関係)でトラブルに見舞われた人を見ると、どうしてもアドバイスせずにはいられないのがわたしの性分なのでお許しください。
 以上、多少不快な表現もあったかも知れませんが、若さを保つ決め手は、やはり人間関係をも含めた日頃の心の持ち方にある、ということで、すこしでも参考になればと思った次第です。
 それでは失礼いたします。


追伸
 『ちょっと気になるメール・その20 【「彼との関係で悩んでいる」 という”匿名”さんからのメール】』、および 『ちょっと気になるメール・その14 【よしみさんからの 「心と身体の関係」 についてのメール】』をぜひお読みになってください。 あなたの問題の解決に何ほどかの参考になることと思います。




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