1. 基礎講座 『常態変換法とは何か』

2004年8月31日更新

※ 応用編の入り口はこのページの下にあります。

 みなさんは体型を遺伝のせいだと思われるでしょうか。
 たとえば、どんなにたくさん食べても太らない人などを見ると、つい 「どうしてなんだろう?」 と、疑問が沸いてくることでしょう。
 もちろん、一般的にたくさん食べる人は太り気味で、小食の人は痩せています。 しかし、体型の差というのは、どうもそれだけではないようです。 一体、太っている人と痩せている人とでは、なにが違うのでしょうか。
 その違いがはっきりと現れるところ、それは 「筋肉の緊張力の差」 にあるのです。

 身近な例でいうと、たとえば痩せている人と太っている人の首筋をくらべてみれば、よくわかると思います。 痩せている人の首筋は、ぴんと筋(すじ)が張っていて、いかにも力が入っているように見えます。 これは、その部分の筋肉が極度に緊張しているためだと考えられます。
 首筋だけではありません。 足首、手首、膝まわりなど、およそ体のありとあらゆる部分において、痩せている人の場合、筋肉の極度の緊張が見られるのです。
 反対に、太っている人はどうでしょうか。
 太っている人の場合は、この逆だと考えられます。 つまり筋肉の緊張が極度に緩(ゆる)いのです。

 このことから、痩せている人とは、筋肉の緊張力が常に高い人のことであり、太っている人とは、筋肉の緊張力が常に緩い人のことである、と定義することができます。
 つまり、痩せている人と太っている人の最大の違いは、「食べる量が多いか少ないか」 あるいは 「運動をするかしないか」 にあるのではなく、「筋肉が常に緊張しているかいないか」 にあるのです。

 痩せている人と太っている人の体型の違いを決定づけるもの、それは食事の量、運動量、そして筋肉の緊張力にあります。 これから述べる 「常態変換法」 は、食事の量や質、あるいは運動量を変えるだけでは思ったほどの効果が得られないということ、そして、真の肉体の改造を実現するのは、まさしく自分自身の意志の力であることを基礎とするものです。

 それでは、まず常態変換法(筋肉緊張ダイエット)の二つの原理から説明することにします。




1. 体のあらゆる部分の脂肪の付き具合は、
 その部分の筋肉の緊張力によって決まる。


 ここでいう筋肉の緊張力とは、簡単にいえば、「その部分の筋肉にどれだけ力を入れているのか」 ということです。
 筋肉の緊張が脂肪の燃焼を促(うなが)す作用があるということは、すでに科学的にも確かめられ、一部のダイエット法には、そのことを述べているものもあるので、ご存じの方もあるかと思います。

 これについては、以前テレビで興味深い実験を行っていたので紹介します。
 その実験とは、痩せた人と太った人に、同じ量、同じカロリーの食事をとらせ、その後の体表温度の変化を、サーモグラフィーで観察するというものでした。
 その結果、痩せている人の場合、食後30分〜1時間位たつと、体表温度が上昇しているのが観察され、一方、太っている人はあまり変化が見られませんでした。(注)

(注)
●NHK「くらべてみれば 〜特集・肥満 vs やせ〜」 '91年放送より。
●数年前、日本テレビで放送された「特命リサーチ200X! 〜ヤセの大食いの謎〜」(97年6月1日放送)、
およびフジテレビ「発掘!あるある大辞典 〜解明・カロリーって何?〜」(97年9月7日放送)でも、同様の実験報告がなされました。

 この実験結果を、上に述べた原理に当てはめて考えてみると、痩せている人の場合、筋肉の緊張力が全体的に高いために、脂肪の燃焼が促され、食事によって得たエネルギーが常に熱によって放散され、体内に蓄積されるエネルギー量が低く抑えられるのに対し、太った人の場合、筋肉の緊張力が全体的に緩いために、脂肪の燃焼効率が悪く、それだけ体内に蓄積されるエネルギー容量が大きくなり、そこに食べた分のエネルギーが脂肪としてどんどん蓄えられていく、ということを意味しています。

 つまり、筋肉の緊張力が強ければ強いほど、なおかつその持続時間が長ければ長いほど、より多くの脂肪が消費されるようになり、逆に、筋肉の緊張力が弱ければ弱いほど、脂肪はどんどん蓄積されるようになるのです。





2. 筋肉の緊張力の変換による脂肪の増減の効果は、その変換状態を、
一時的ではなく、一生間、常に維持していくことによって初めて現れる。


 常態変換法のもっとも本質的な点は、この第二の原理にあります。
 この第二の原理は、筋肉の緊張力の変換が一時的なものであれば、その効果もやはり一時的なものにとどまり、すぐにまたもとの状態に戻ってしまうことを意味します。
 つまり、今、あなたが痩せたいと思っている部分の筋肉を思いっきり緊張させても、それをすぐにやめてしまっては、何にもならないということです。
 大事なことは、たとえそれが自分にとって普通の状態ではないと思っても、その筋肉の緊張力の変換を緩めることなく、そのままずっと維持していくということなのです。
 (※ 強い運動を一時的に行うよりも、たとえ軽い筋肉緊張でも、それを一日中維持していくことの方が、消費カロリーは莫大な量になるのです。)

 ここで行われている、自分自身の肉体を自らの意志によって別の状態へと変換し、それを一生間、常に維持していくこと、つまり、その変換状態を 「普通の状態」 にすること、これこそがこの方法の 『常態変換法』 たるゆえんなのです。





筋肉緊張ダイエットいざ実践!・成功の秘訣

 常態変換法を最も簡単な形で応用したものが 『筋肉緊張ダイエット』 です。
 この筋肉緊張ダイエットは、がんばればがんばるほど効果が表れてくる減量法です。
 たとえば脚を細くしたいのであれば、脚の筋肉全体に力を入れ、それを常に維持していく、そして、その力の入れ具合(緊張力)が強ければ強いほど、また持続時間が長ければ長いほど、原理的には数時間も経たないうちにその効果が表れてくるようになります。(注:下の『長所4』を参照のこと。)

 ただし、最初のうちは 「筋肉に思い切り力を入れ、それを常に維持していけばいいんだな」 と、頭では分かっているつもりでも、気が付いたら筋肉の緊張が緩んでいた、という人がほとんどだと思います。

 ですから、最初のうちは緩んでいる事に気が付くまでの時間を短くすることが肝心です。 気が付いたら筋肉の緊張が緩んでいたのであれば、ふたたび筋肉に力を入れ直すようにしましょう。
 このとき、ただ何の気なしに筋肉に力を入れ直すのではなく、前に力を入れた時よりもさらに強い力で、目いっぱいギューッと緊張させるのがコツです。

 この「目いっぱい」というのが大事です。 というのは、ずーっと力を入れているつもりでも、自分がそう思っているだけで、実際にはあまり力が入っていない場合がほとんどだからです。
 言うまでもないことですが、いつも同じ強さの緊張力では、なかなか効果は現れてきません。 「忘れていたら力を入れ直す」の繰り返しの中で、筋肉の緊張力の強さを段階的に高めていくことが、成功のカギなのです。
 こうすることによって、普段意識していない時でも、弱いながら徐々に筋肉の緊張力の持続性が高まっていくのです。

 また、日常生活の中で緊張が緩んでいることに気が付く場面を多くすることも大事です。 たとえば、朝起きる時、食事の時、勉強している時、仕事をしている時、スポーツをしている時、買い物の時、お風呂に入っている時など、だんだんと 「あっ、筋肉を緊張させているな」 と意識する場面を増やしていきましょう。

 そして最終的には寝ている間も筋肉の緊張を持続させることができれば完璧です。 もちろん、それには普段の起きている時の努力がものをいうことは間違いありません。
 まずは筋肉の緊張に慣れること、そしてそれを常に維持していくことができるようになること、つまり筋肉を緊張させた状態を 「普通の状態」 にすること、これに尽きると思います。

 原理的には、たとえ弱い力でも一日12時間以上の筋肉の緊張を持続出来るようになれば、少々食べ過ぎたぐらいでは、容易に太らない体質に改善することが出来ます。 ただし、そこにたどり着くまでには相当の努力と年月、および意志の力が必要となります。
 実行するのは辛いとは思います。 しかし理想の体型を手に入れるためには、ぜひとも必要なことです。 がんばってください!



ワンポイントアドバイス 〜まずは意識することから〜

 筋肉の緊張を持続させるは誰でも難しいものです。 もしどうしても筋肉の緊張を持続させることができない場合、まずは 「今思いっきり力を入れているんだ!」 と意識することから始めましょう。 こうすることで弱いながらも確実に筋肉に力が入るようになります。
 あとはその意識を、一時的ではなく、最低でも一日のうち半分以上の時間持続させることが出来れば、効果は確実に表れてくるようになります。

ワンポイントアドバイス 〜筋肉緊張呼吸法〜

 筋肉の緊張を持続させる場合、息を吐く時よりも吸う時の方が筋肉に力を入れやすい、という性質を利用して、息を吸う時に思い切り力を入れるくせを付けるようにすると効果的です。 これを 『筋肉緊張呼吸法』 と呼びます。
 つまり、息を吐く時は一休み → 息を吸う時は思い切り緊張させる、というのを一日中繰り返し、「息を吸う」 動作と 「筋肉を思い切り緊張させる」 動作を条件反射的に常に連動させるのです。
 こうすることで、1分間に約20回、一日に換算すれば(起きている時間を15時間として)18000回も緊張させることができるのです。 当然ながらその消費カロリーも莫大な量になります。

ワンポイントアドバイス 〜こんな心理療法がおすすめ!(1)〜

 自分の理想の形をした『ギブス』を痩せたい部分にはめ込みます。
 ギブスの内側には鋭い針が付いており、ちょっとでも筋肉の緊張を緩めようものなら、たちまち突き刺さり、激痛が走ります。
 また、針の先には毒が塗ってあり、一日10回以上刺さると死に至ります。
 針が突き刺さった時の痛みを常に思い浮かべることによって、グッと筋肉に力を入れ直すようにするのです。

ワンポイントアドバイス 〜こんな心理療法がおすすめ!(2)〜

 筋肉の緊張が緩んでいることに気が付いた時に、頭の中に恐い『鬼コーチ』を思い浮かべるのです。
 筋肉の緊張が緩んでいると、鬼コーチの厳しいお仕置きが待っています。
 例えば、脚の筋肉の緊張が緩んでいた場合、ひざのあたりに竹刀によるキツイ一撃が喰らわされます。 また、えらや頬の筋肉の緊張が緩んでいた場合、すばやく往復ビンタが飛んできます。 お腹の筋肉の緊張が緩んでいた場合、ゲンコツがみぞおちのあたりに思い切り入ります。 お尻の筋肉の緊張が緩んでいた場合、お尻をムチでビシビシ叩かれます。
 こんなシーンを思い浮かべることによって、グッと筋肉に力を入れ直すのです。



筋肉タイプ別アドバイス

筋肉には二つのタイプがある

 人の筋肉には、大きく分けて2つの種類があります。
 一つは、パワーは出るが疲労しやすい 「速筋」 と、もう一つは、パワーは出ないが疲労しにくい 「遅筋」 です。

 「速筋」 はおもに瞬発力をつかさどる筋肉です。 速筋は短距離ランナーや重量挙げの選手にたとえることができます。 一般に筋肉質の人においては速筋の割合が高いといわれ、グリコーゲン(糖質)を主なエネルギー源としています。
 激しいスポーツや、筋力トレーニングなどで鍛えられる筋肉は、おもにこの速筋です。 速筋は使えば使うほどムキムキとした筋肉を作り、逆にまったく使わなくなれば、その分だけ細くなり、衰えていきます。

 一方、 「遅筋」 はおもに持久力をつかさどる筋肉です。 遅筋はマラソンランナーにたとえることができます。 痩せている人においては、この遅筋の割合が高いといわれ、脂肪を主なエネルギー源としています。


ぶよぶよ (脂肪太り) 型のあなたへ

 脂肪太りのあなたは速筋も遅筋もあまり使わないタイプです。
 そんなあなたには、まさにこの筋肉緊張ダイエットがぴったりです! さっそく今から筋肉緊張生活を始めましょう!

ムキムキ (筋肉太り) 型のあなたへ

 筋肉太りのあなたは、遅筋にくらべて速筋をより多く使うタイプです。
 そんなあなたにも、この筋肉緊張ダイエットをおすすめします。 なぜなら 「筋肉でパンパン」 であっても、脂肪が全くないということはないからです。
 筋肉緊張ダイエットは筋肉を鍛える方法ではありません。 常に筋肉を緊張させることによって、筋肉そのものを増やすことなく、今ある筋肉(遅筋)の脂肪燃焼能力をフルに引き出す方法なのです。

 例えば、痩せてガリガリ型の人を想像してみてください。 いかにも力がなさそうに見えますが、実は体中の筋肉はいつも緊張していて、いつも力が入っている状態なのです。 つまり遅筋がいつも働いているのです。
 いつも力が入っているわけですから、どんどんエネルギーが使われます。 つまり脂肪が常に燃やされているのです。 このことは、「なぜ痩せている人は食事制限や特別な運動をしないのに、いつも痩せている体を維持することができるのか」 という疑問に対し、十分に納得のいく答えをわたしたちに与えてくれると同時に、筋肉を発達させずに、脂肪だけをどんどん燃やしていくことが十分可能であることを証明するものなのです。

 ですから、筋肉質を解消したい場合でも、まず筋肉を思い切り緊張させ、それを常に維持していく、という方法が、痩せるための第一歩になるのです。

 ここで、「グッと力を入れる動作を繰り返せば、ムキムキになってしまうのでは?」 と心配する人もいるかもしれません。
 グッと力を入れる時にはたしかに速筋が働きますが、力を入れた後、その状態を維持していく時には「遅筋」が働くようになります。
 遅筋はいくら力を入れても発達することはありません。 あくまで力を持続させるために働く筋肉です。 ですから遅筋を使えば使うほど、筋肉そのものは発達することなく、脂肪だけを燃やすことが可能になるのです。

 つまり、緊張させた状態を維持するだけなら筋肉は決して増えることはないのです。 安心して実行しましょう!

 筋肉質な体をしなやかでほっそりとした体型に作り替えるには、激しい運動を控えることも忘れてはいけません。 とくに筋力トレーニングなどを行っている場合は要注意です。
 「脂肪を取りたいけど、筋肉質にはなりたくない!」 というあなたは、息をハッ!ハッ!と吐き続けなければならないような激しい運動よりも、静かで持続的な運動が必要です。
 それに最も適した運動こそ、この筋肉緊張ダイエットなのです。

※ 速筋と遅筋の働きの違いについては、このページ下の 『まとめ2』 も合わせてご覧下さい。





筋肉緊張ダイエットの長所と短所
長所1:食事制限は基本的に必要なし!

 「痩せている人はいくら食べても太らない。 それゆえ食事の量と体型はあまり関係がない。」 これはわたしがつねづね感じていることです。 このことは、おそらく皆さんも経験的に感じてらっしゃるのではないでしょうか。

 大事なことは、食事によって摂取されたエネルギー量を上回るだけのより強い筋肉の緊張力と、それを常に持続させていくことを心がけていればいいのです。 つまりあなた自身の忍耐と努力、そして何よりも 「強い意志」 さえあれば、普通に食べていても、痩せている体型を維持することは十分可能なのです。

※ ただし、食事の量と体型はあまり関係がないのだからといって、間食は食べ放題、運動も全くしない、という生活では、やはり効果は上がりません。 適度な量の食事を摂ること、また、家にじっと引きこもっているよりも、積極的に外に出て適度な運動を行っていれば、それだけ効果が倍増することは間違いありません。 もし過度の間食が止められない人や、運動を全くしない人がいたら、ぜひこれを機会に生活全般を改められることをおすすめします。

長所2:リバウンドの心配なし!

 この方法には無理な食事制限や過激な運動などのメニューはいっさい含まれていません。
 それゆえ、食事の際にいちいちカロリーの心配や計算をする必要もなく、また食事を我慢するストレスからも完全に開放されるので、反動そのものが存在せず、安心して好きなものを食べられるという特徴があります。

『食べ方』 のワンポイントアドバイス

 「好きなものを好きなだけ食べて良い」 というのは、あくまで 「体が欲しがっている時に」 という条件が付きます。 体が 「もういっぱい」 と感じているのにドカ食いを繰り返していては、やはり効果は上がりません。 お腹が空いたら食べる、お腹が空いていなければ食べない、こうした自然の欲求に従うことがあくまで基本なのです。

 例えば、お腹が空けばお腹が 「ぐー」 と鳴ります。 これは 「食べなさい」 というサインです。 反対に、お腹いっぱいになればげっぷが出ます。 これは、「これ以上食べてはいけません」 という警告です。 また、食後しばらくしてから何度もおならが出るのは、明らかに 「カロリーオーバー」 であることを示しています。
 このように、ヒトの体は何か異常が起こると、必ず何らかの信号を発します。 こうした信号に素直に対応して、自分に合った食事の量を決めるようにしましょう。

 ※ なお、人にはそれぞれ個性というものがありますから、お腹が空いていなければ一日一食でも構わないし、お腹が空いていれば食事量を小分けして一日5食にしても構わないと、わたしは考えています。 自分にはどのペースが一番合っているのか、どれが自分にとって一番適量なのかを割り出して、食事量を調整するのはある程度必要なことです。 そうすれば、太り過ぎの人は今までどれだけ自分が必要以上の量を食べていたかが分かってくると思います。

長所3:部分痩せが可能!

 痩せたいと思う部分だけ痩せさせる、ということを可能にしたのが、筋肉緊張ダイエットの最大の長所といえるでしょう。 痩せたいと思う部分の筋肉に思い切り力を入れ、それを常時維持していくこと、ただそれだけです。 何ら難しいことではありません
 からだの各部分についてのやり方は「応用編」にて説明しています。

※ 科学的には部分やせは不可能、というのが定説になっているようですが、最近では、「ある一定の筋肉を持続的に緊張させることにより、ノルアドレナリンという物質が特にその部位に分泌され、結果的にその部位の脂肪燃焼が促進され、部分痩せが可能となる」 という説も出てきています。

長所4:効果をすぐに体感できる!

 例えば、腕でも脚でもよいですから、思い切り緊張させてみるとします。 そうすると、緊張させた部分が筋肉のラインに沿って凹んでいるのが分かるはずです。 つまり、この時点で早くも筋肉緊張ダイエットの効果が表れていることになるのです。
 問題は、その状態をはたしてずっと維持して行けるかどうかということだけなのです。
 たいていの人は、ほんのしばらくの間筋肉を緊張させた後、すぐに筋肉の緊張を緩めてしまいます。 しかし、これではせっかくたった今効果を体感できたのに、みすみす自分から元の状態に戻してしまっているようなものなのです。
 筋肉を思い切り緊張させたつもりでも、その緊張をいったん緩めてしまいますと、すぐに元の体型に戻ってしまうことを忘れてはなりません。 大事なことは、いつ何時でも筋肉の緊張を解いてはならないことです。 ぜひこのことを日ごろから心がけてください。

※ 筋肉に力を入れると、確かにその部分は凹みます。 ただし、細胞の入れ替わりのサイクルは約3ヶ月ほどであり、また、体脂肪は、血液中の脂肪→内臓脂肪→皮下脂肪、という順番で燃やされるので、実際に脂肪が燃焼され、皮膚のたるみも解消されて、本来の意味で細くなったことを見た目で実感できるのは、もっと後になります。 したがって、結果が出るまでには最短でも1週間、平均で3ヶ月と考えてください。 ですから、結果がすぐに現れないからといってすぐに止めてしまうことなく、その間も筋肉の緊張を忘れないで維持するようにしましょう。

長所5:太りたい人にも朗報!
 このホームページを訪れた人の中には、食べても食べても太らない、と悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。
 すでに述べたように、太っている人と痩せている人の違いは筋肉の緊張力の差にあるのですから、痩せている人が今より太りたい場合は、筋肉の緊張力を緩め、それを一生間、常に維持していけばよいことになります。 つまり、痩せたいと思っている人の場合の、逆の応用ということになります。

ちょっと気になるメール集の「その1」と「その4」参照

■ 短所:筋肉の緊張力を持続させることが、簡単なようで意外と難しい。

 これが筋肉緊張ダイエットにおける唯一の短所といえるでしょう。
 「筋肉を思い切り緊張させ、それを一生間、常に維持していく」と、口では簡単に言うことはできても、それを実際に行うことは想像以上に困難なことです。 しかし、その困難をあえて克服することこそ、理想の体型を獲得するためには、ぜひとも必要なことなのです。

 もともと筋肉緊張ダイエットは短期間で劇的な体重減が現れるようなダイエット法では必ずしもありません。 また、普通に食べ、普通に生活していく上で、いかに自分の納得行く体型を維持することが出来るか、ということを主眼としていますので、その効果はけっして 「1週間で何キロ痩せました!」 という具体的な数字で表されるものではないということも、あらかじめご理解いただきたいと思います。

 筋肉緊張ダイエットは、理論はほぼ完全に確立されたダイエット法ではありますが、今は実績を積み重ねている最中といっていいくらい、まだまだ歴史の浅いダイエット法です。
 それゆえ、みなさんからの質問やアドバイス、そして筋肉緊張ダイエットを実際に体験してみて、その結果がどうだったのか、メールで知らせていただけることが、作者にとって何よりの励みとなります。





まとめ1
■筋肉緊張ダイエットの第一の目的は、基礎代謝量を高めることにある。

 基礎代謝とは、簡単に言えば、意識的な運動をしなくても自然に消費されるエネルギーのことです。
 じつは、人体の消費カロリーに占めるエネルギーの大部分は基礎代謝によるものなのです。 痩せている人はこの基礎代謝量が高いといわれています。 それゆえ痩せている人はこれといった運動をしなくても、痩せているからだを維持することが出来るわけです。

 では、痩せている人はなぜ基礎代謝量が高いのでしょうか。
 わたし自身、長い間いろいろな角度から分析した末に、それは筋肉の緊張力が太っている人に比べてはるかに高いからであるという結論に達しました。 痩せている人は無意識的に筋肉の緊張力の高さを維持することが可能なのです。 痩せている人自身にとっては普段、自分ではちっとも緊張させていないと思っているでしょう。 でも、それは痩せている人自身が気づいていないだけで、太っている人から比べれば、絶えずはるかに緊張している状態にあるといえるのです。 つまり、太っている人から見て筋肉を思い切り緊張させている状態が、痩せている人にあっては普通の状態となっているのです。
 ですから、太っている人が基礎代謝量を高めるためには、「筋肉に力を入れ、それを常時維持していく」という方法をとればいいということになるのです。

 人体の消費エネルギーの60〜70%は基礎代謝によるものです。基礎代謝は脳や、肝臓、胃腸などの器官でも消費されますが、中でも一番代謝能力が高いのは 「筋肉」 です。
 筋肉緊張ダイエットでは、筋肉を絶えず緊張させることによって、筋肉の脂肪燃焼能力をアップさせ、太りにくい体質を作ることを目的としています。



まとめ2
■筋肉に力を入れ続けると筋肉質になるのでは?

 答えは「ノー」です。
 人の筋肉には、大きく分けて2つの種類があります。
 一つは、パワーは出るが疲労しやすい 「速筋」 と、もう一つは、パワーは出ないが疲労しにくい 「遅筋」 です。
 「速筋」 はおもに瞬発力をつかさどる筋肉です。 速筋は短距離ランナーや重量挙げの選手にたとえることができます。 一般に筋肉質の人においては速筋の割合が高いといわれ、グリコーゲンを主なエネルギー源としています。
 激しいスポーツや、筋力トレーニングなどで鍛えられる筋肉は、おもにこの速筋です。 速筋は使えば使うほどムキムキとした筋肉を作り、逆にまったく使わなくなれば、その分だけ細くなり、衰えていきます。

 一方、 「遅筋」 はおもに持久力をつかさどる筋肉です。 遅筋はマラソンランナーにたとえることができます。 痩せている人においては、この遅筋の割合が高いといわれ、脂肪を主なエネルギー源としています。

 わたしたちの筋肉はふだん意識していなくても、ある程度は緊張しています。 その無意識的な筋肉の緊張の度合いが 「低く」 設定されている人、これがつまり太っている人で、 逆に「高く」 設定されている人、これがつまり痩せている人です。
 そして、その緊張状態を維持している筋肉こそが、いわゆる 「遅筋」 なのです。

 筋肉緊張ダイエットでいうところの 「筋肉に力を入れ、それを常に維持していく」 とは、持続的でいつも絶え間なく働いている筋肉の力の入れ方ですから、いうまでもなく遅筋を働かせるのに最も適した方法ということになります。
 これとは逆に、激しいスポーツや筋力トレーニングなどの運動は、おもに瞬発力を要求される力の入れ方ですから、これはいわゆる速筋を働かせる運動になります。 これを行うと、脂肪を燃焼させることはもちろんできますが、同時に筋肉も必要以上に発達してしまい、筋肉隆々とした体つきになってしまいます。

 遅筋は速筋にくらべてそれほど瞬間的なパワーを必要としません。 ある一定の力さえ出せれば、それで十分です。 ですからある程度の太さや数に達していれば、それ以上増えることはありません。 それゆえ遅筋は使えば使うほど、筋肉そのものは増えることなく、筋肉の周りに付いている脂肪を燃やすことができるのです。

 つまり、筋肉緊張ダイエットで行うこととは、今まで一時的な瞬発力のためだけに使われてきた筋肉、すなわち速筋の使用をなるべく控え、遅筋を絶えず緊張させることによって、筋肉の全体量を増やすことなく、筋肉組織全体を持久力を養いやすいものに作り替え、それによって脂肪を常時フル回転で燃焼させるようにして、「基礎代謝量」を高めることなのです。
 これが、筋肉緊張ダイエットが今までのただ筋肉をつけるだけの筋力トレーニングやフィットネス系のダイエット法とは決定的に違う点なのです。

※ 関連記事・その1

 医学の常識では、速筋と遅筋の存在比(筋線維組成)は遺伝により決まっていて、身体トレーニングなどの影響を受けないとのことですが、その代謝特性はトレーニングで特異的に変化し、その機能は高まるのだそうです。 すなわち、比較的「速筋」の多いひとでも、持久的なトレーニングを行うと、速筋線維の有酸素性エネルギー供給機構の能力が改善され(ミトコンドリアが増え)、同時に遅筋線維の断面積が広くなり、持久力が高くなるのです。 (「健康ネット小辞典」より)

※ 関連記事・その2

 「ところで、筋繊維には大きく2つの種類がある。 速筋繊維と遅筋繊維だ。
 (中略)
 速筋は筋肉の収縮をうながすカルシウムイオンがたっぷりと放出されるので、無酸素エネルギーを使う能力に優れている。 短距離などの瞬発力を必要とする競技に適した繊維だ。 一方、遅筋は有酸素運動が得意。 細胞内にミトコンドリアを多く持っていて、酸素を活発に運動エネルギーに変えることができる。
 (中略)
 で、ここからが問題。 細胞内のミトコンドリアは、トレーニングによって増やすことができる。 ミトコンドリアが増える、ということは有酸素運動がスムーズに行えるようになることだから、速筋は遅筋のような性質になることが可能なのだ。
 ところが、カルシウムイオンの放出量は、トレーニングで変えることができない。 遅筋はいくらトレーニングしても遅筋のままなのである。

Tarzan』 2000年1月12日,26日合併号(P.26)より。(発行:マガジンハウス)



応用編への入り口

以上で、筋肉緊張ダイエットのおおよその骨子はつかめていただけたことと思います。
それでは実際にどのようにしたらよいのか、応用編にて説明いたします。

見たい項目をクリックしてください。

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